症例紹介
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心臓病について
①僧帽弁閉鎖不全症
(MMVD、MI、MRと言われたりもします)
ワンちゃんの心臓病で最も一般的な病気です。左心房と左心室を区切る僧帽弁が変形し、血液が逆流する病気です。お薬をスタートする時期が重要になります。2018年に論文が発表され、心臓病の内科的治療法に転換期が来たと考えられます。聴診にて異常を認めた場合、心臓エコー検査などをおすすめします。
治療前:赤で囲まれた部分が白い
治療後:黒く抜けてきている
心臓病のステージが進むと肺に水が溜まる、肺水腫という状況になります。肺水腫は緊急疾患になります。上記の胸部レントゲンでは治療後に肺がほぼ正常までになり、心臓の大きさも小さくなっています。このワンちゃんは次の日に無事に退院し、通院にて経過観察中です(2019年3月現在)。
②肺高血圧症(PH)
近年、日本獣医循環器学会において発表・講演が多く見られる病気です。この病気は病態が大きく二つに分けられます。それにともない、お薬の種類も変わってきます。この病気の症状として、失神が特徴的です。代謝性疾患、頭蓋内疾患、および不整脈との鑑別が重要になります。
③拡張型心筋症(DCM)
中型~大型のワンちゃんによく見られる病気で、心臓の収縮力が落ちます。昔に比べ、息切れするまでの時間が早くなっていませんか?
④肥大型心筋症(HCM)
ネコちゃんの心臓病で最も一般的な病気で、心筋が厚くなります。ワンちゃんに比べ、ネコちゃんの心臓病は飼い主さまが気付きにくいと思われます。ネコちゃんは高血圧の治療も重要になってきます。泌尿器検診(10歳以上の場合、甲状腺機能亢進症もできれば…)とあわせて来院をおすすめします。
尿管閉塞と腎不全
心臓から出た血液は、大動脈に入り、腎臓へ流れます。そして体に不必要なものを、腎臓で尿へと変えます。尿は、尿管を通り、膀胱を経て尿道から外へと排出されます。
腎不全とは、本来の腎臓の機能が損なわれている状態のことです。腎不全の原因には、腎前性、腎性そして腎後性があります。腎前性とは、腎臓に入る前に原因がある場合です。腎性とは、腎臓そのものに原因がある場合です。そして腎後性とは、腎臓で尿に変わった後、つまり尿管、膀胱および尿道に原因がある場合です。
今回は、尿管閉塞による腎後性の腎不全についてです。尿のとおり道である尿管が何らかの原因で塞がると、尿が体外に排出できません。尿が排出できないと腎臓の機能は損なわれます。原因には、結石が多く、その他には尿管狭窄や腫瘍などがあります。
尿管閉塞の診断は、
①血液検査で腎数値の上昇を確認
②エコー検査で水腎症や尿管の拡張を確認
③レントゲン検査で結石の確認
の3つが必要です。
血液検査のみでは、尿管閉塞は診断できません。
治療法は、尿管内の結石を摘出する尿管切開術、尿管内に管を通す尿管ステント術、また腎臓と膀胱に尿管とは別の管を作る膀胱尿管バイパス術(SUBシステム)があります。